あのとき、挑戦しておけばよかった。 言えばよかった。 行けばよかった。
そんな「やらなかった後悔」、心当たりはありませんか?
じつは心理学では、「やった後悔」より「やらなかった後悔」のほうが、
長く尾を引きやすいということが繰り返し示されています。
研究が示す「後悔の非対称性」
コーネル大学の心理学者ギロヴィッチ(Gilovich)らは、
人が長期的に抱える後悔について調査を重ねてきました。
また、著者らによる別の調査では、行動しなかったことへの後悔は、
行動したことへの後悔のおよそ2倍に上るという結果も報告されています。
日本人を対象にした研究でも、
大学生を対象に「告白したか・しなかったか」「第一志望校を受験したか・しなかったか」について
後悔の程度を調べたところ、
行動しなかったグループのほうが長期的に後悔が大きい傾向が見られています(上市・楠見, 2004※)。
※上市・楠見 (2024) では、出来事によって行動した/しなかったことによって生じる後悔の大きさが異なること、
さらに、個人の意思決定スタイルによっても、
行動した/しなかったことによって生じる後悔が異なる、という可能性を報告しています。
なぜ「やらなかった後悔」のほうが長引くのか
それは、結果が見えないからです。
何かを実際にやった場合、うまくいってもいかなくても、結果が出ます。
結果がわかれば、気持ちに区切りをつけやすくなる。
でも、やらなかった場合は、その後どうなったかは永遠にわかりません。
「もしあのとき動いていたら…」と、頭の中で想像し続けることができてしまうんですね。
しかも、やらなかった理由って、意外と些細なことが多い。
「なんとなく気が乗らなかった」「タイミングが合わなかった」。
そういう理由すら忘れてしまうから、後悔だけが残りやすいんですね…。
「後悔の非対称性」を知って、どう生かすか
もちろん、「何でも行動すればいい」ということではありません。
ただ、迷っているとき、「失敗したらどうしよう」という気持ちが強くなりがちですが、
「やらなかったときに後悔しないか」という問いも、
一緒に考えてみることが大切かもしれません。
「やって失敗した後悔」は、時間とともに薄れやすい。
「やらなかった後悔」は、時間とともに大きくなりやすい。
そんなことを頭の片隅に置いておくだけで、迷ったときの判断が、少し変わるかもしれませんね。
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参考文献
Gilovich, T., & Medvec, V. H. (1994). The temporal pattern to the experience of regret. Journal of personality and social psychology, 67(3), 357.
上市 秀雄・楠見 孝. (2004). 後悔の時間的変化と対処方法 意思決定スタイルと行動選択との関連性. 心理学研究, 74(6), 487-495.